Nao Fifteen love

美しく魅力的な文章の書き方をブログで実践中です

懐かしい気配…

白葡萄の香りが  

薔薇の花びらからほどけたとき、  

胸の奥の薄い雪片が  

静かに舞い落ちた。

 

長く眠っていた想い出は、  

触れれば消えるほど儚いのに、  

確かに私の中で  

呼吸を続けていた。

 

香りに導かれるように、  

忘れかけていた記憶が  

初夏の風に揺れる布のように  

そっと立ち上がる。

 

その気配は、  

痛みでも喜びでもなく、  

ただ懐かしさだけを  

静かに置いていく。