
朝の光は
薔薇の花びらに
白い薄絹をそっと重ねる
露を含んだ輪郭は
まだ眠る空気の中で
ひとつひとつ静かに息をする
夏の名残をほどいた赤は
少しだけ深く
少しだけやわらかく
指先の記憶に寄り添うように咲く
風が通るたび
花の縁に滲む透明は
洗い立てのガラスのように澄み
胸の奥まで
ひんやりとやさしく届いてくる
そこにあるのは
声高な季節の終わりではなく
気づけばそっと傍らに立っている
薔薇はまだ
美しくひらいたまま
白い光の中で
静かに深みを増し
見つめる人の記憶を
そっとやわらかくほどいていく